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英雄、並び立たず

 ロイ・ジョーンズ・ジュニア(米)対フェリックス・トリニダード(プエルトリコ)のライト・ヘビー級12回戦という、夢の黄金カードの実現には一驚を喫した。

 この二大スーパースターの試合がテレビ(WOWOW)に登場するのは久々のことで、もうそれだけでも相当な楽しみなのに、何とその二人が戦う(!)というのだから……。緊張とコーフンのあまり溜め息が出ましたね。

 結果的にはジョーンズの3-0判定勝ちに終わったものの、株を上げたのはむしろ敗れたトリニダードのほうだったように思う。

 3年近いブランクと、自身初となるライト・ヘビー級での体重づくりという半ば無謀な試みへの不安をも乗り越えて、あの歩く伝説のような超人ロイ・ジョーンズ相手にフルラウンドをよくぞフツーに戦い抜いたものだと全く感心してしまう。動きもよかったし。

 都合2度のノックダウンこそ食らったものの、見ているファンの側としては、むしろ2度くらいで済んでホッとしました。

 けっこう打たれモロいほうに分類されるトリニダードが惨敗をせずに済んだのは、もちろんロイ・ジョーンズの安全第一ボクシングが関与するところ大なのだろうけど(ポカ負けの悪夢は、ジョーンズとしても金輪際ご免なんだろうね……)。

 しかし、その勝者ジョーンズ――。

 勝ちに徹したディフェンシブな戦法を採っていたとは言え、ジョーンズ自身が思い描いていたほどには、相手のことを圧倒できなかったように見えましたね。

 あえて圧倒しなかった部分と、思ったよりも圧倒できなかった部分とがフクザツに絡み合って今回の判定勝利が生まれた――そんなふうに映りました。

 いずれにせよ、トリニダードがまだあんなに戦えることが判って嬉しかった。

 ボクシングもスーパースター同士の対決となると、展開次第でどちらの勝ちも負けもありえますからね。
 もはや普通の試合のように、「負けたほうが弱い」という世界ではなくなってしまうところがある。

 そんな、ごく一握りのスター同士が火花を散らし合い、敗れ難きが敗れ去ってゆくボクシングの儚さに心惹かれます。

by atom552808-7 | 2008-02-19 17:50  

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