亀猿1号よ、小学校からやり直せ

 出てくるにしても、タイミングというものがあると思う。

 よりにもよって世界チャンピオン(内藤大助)が世界のベルトを防衛し、 勝利者としてリング上でインタビューを受けているその最中に、そいつは図々しくも世界のリングに勝手に上がってきた。

 そう、亀田興毅である(※註:“亀猿”というのは、コラムニスト勝谷誠彦が作った亀田の揶揄ネーム。秀逸なので思わず使ってしまった)。

 リングに上がってくるにしても、まず試合に勝った当事者のインタビューが終わってからにするべきだ、と僕は思うんですよね。

 みんな固唾を呑んで、世界チャンピオンの次の言葉を待っているその最中に、誰の判断だか知らないけどノコノコと出てきてインタビューを中断させたのは完全な失策(あれはたぶんTBSの誰かの指示だよね。そこまでしてでも、テレビに顔を出させたかったという政治力が働いたのだろう)。

 せっかく坂田も内藤もタイトルを防衛し、我われファンたちは柔らかな安堵感に包まれながら、それぞれ思い思いの次の行動に移ろうと思っていたわけですよ。トイレに行ったり、酒を本格的に飲み始めたり……(僕は寝る気マンマンでした)。

 それを何だッ。何だあれはッ。
 せっかく良い番組を見ていい気持ちになっていたのに、一気にそれに水を差されて目が冴えてしまったじゃないかっ。わーん(涙)!!

 亀田と言うより、TBSがイヤらしいと思う。そこまでしてカネが欲しいのかね(シャレじゃないよ)、と、いち視聴者としては溜め息の一つも出てしまう。

 TBSの電話のお姉さんの話によれば、「あれはハプニング的なもので、TBSとしても把握できていなかった」とのこと。把握しろよタコ!! ま、その言い分が本当であった場合の話ですけどね……。

 いずれにしても亀猿クンは、まず実力で8回戦なり10回戦なりのリングに上がれ、と言いたい。

 威張るのなら、みんなと同じ手続きを踏んだ上で威張ってほしい。それなら、もし負けても誰も馬鹿にはしない。
 それがイヤだと言うのなら(本人は、きっとイヤじゃないんだろうけどね)、別にボクシングという、ノンフィクションの世界にコダワらなくたっていいじゃないか。

 ノンフィクションだと言い張るから、話がこじれるんだよなあ……。お願いだからスポーツ番組には当分出てこないでほしい。スポーツ選手に失礼だし、まじめに見ている視聴者にも失礼だ。

 亀田の名を冠した番組であれば、「うわあ、見たくない」とか選択するチャンスが、視聴者にはいちおう与えられる。が、昨日の場合はいきなり登場だもんなあ。あれは暴力だ。和田アキ子のCMと同じだ。

 TBSは、亀猿クンの今後の就職先というか居場所を、ちゃんと作ってあげるべきだ。みんなが「まあ、いいか」と思えるような居場所を。

 あれじゃあ誰も納得しないよ。
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# by atom552808-7 | 2008-07-31 07:22  

英雄、並び立たず

 ロイ・ジョーンズ・ジュニア(米)対フェリックス・トリニダード(プエルトリコ)のライト・ヘビー級12回戦という、夢の黄金カードの実現には一驚を喫した。

 この二大スーパースターの試合がテレビ(WOWOW)に登場するのは久々のことで、もうそれだけでも相当な楽しみなのに、何とその二人が戦う(!)というのだから……。緊張とコーフンのあまり溜め息が出ましたね。

 結果的にはジョーンズの3-0判定勝ちに終わったものの、株を上げたのはむしろ敗れたトリニダードのほうだったように思う。

 3年近いブランクと、自身初となるライト・ヘビー級での体重づくりという半ば無謀な試みへの不安をも乗り越えて、あの歩く伝説のような超人ロイ・ジョーンズ相手にフルラウンドをよくぞフツーに戦い抜いたものだと全く感心してしまう。動きもよかったし。

 都合2度のノックダウンこそ食らったものの、見ているファンの側としては、むしろ2度くらいで済んでホッとしました。

 けっこう打たれモロいほうに分類されるトリニダードが惨敗をせずに済んだのは、もちろんロイ・ジョーンズの安全第一ボクシングが関与するところ大なのだろうけど(ポカ負けの悪夢は、ジョーンズとしても金輪際ご免なんだろうね……)。

 しかし、その勝者ジョーンズ――。

 勝ちに徹したディフェンシブな戦法を採っていたとは言え、ジョーンズ自身が思い描いていたほどには、相手のことを圧倒できなかったように見えましたね。

 あえて圧倒しなかった部分と、思ったよりも圧倒できなかった部分とがフクザツに絡み合って今回の判定勝利が生まれた――そんなふうに映りました。

 いずれにせよ、トリニダードがまだあんなに戦えることが判って嬉しかった。

 ボクシングもスーパースター同士の対決となると、展開次第でどちらの勝ちも負けもありえますからね。
 もはや普通の試合のように、「負けたほうが弱い」という世界ではなくなってしまうところがある。

 そんな、ごく一握りのスター同士が火花を散らし合い、敗れ難きが敗れ去ってゆくボクシングの儚さに心惹かれます。
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# by atom552808-7 | 2008-02-19 17:50  

偉業達成なるか? ホリフィールド、44歳の世界挑戦!

 TBS(東京ボクシング洗脳協会)の編集ノウハウがでっち上げた俗臭芬々たる阿呆のピエロ一家には早急にスポーツ史上から消え去って頂くとして――。

 そんなことよりも、ホリフィールドですよホリフィールド!!

 何と、あの米国の元統一世界ヘビー級王者イベンダー・ホリフィールド(44歳)が、またもや世界ヘビー級タイトルマッチに挑むというではありませんか! 
 もうドキドキして、食事もろくに喉を通りません(そういう意味で、僕は所詮90年代限定のボクシングファンだっんだなあ、としみじみ考えさせられる今日このごろ)。

 対戦相手となるのはWBO世界ヘビー級王者、ロシアのスルタン・イブラギモフ(32歳)。戦績は22戦21勝(18KO)1引き分け。要するに、まだ一度も負けたことがないんですよね。

 ちなみにホリフィールドの戦績は、52戦42勝(27KO)8敗2引き分け(この勝ち星には、当時まだ十二分に危険であったマイク・タイソンへの、まさかの2連勝も含まれる)。
 
 今回登場するイブラギモフも含め、現在、旧ソ連勢が席巻するヘビー級の世界タイトル戦線。

 しかしながら、世界的に有名な米国の元世界ヘビー級チャンピオンが、特に顔見せ興行というわけでもなしに挑戦者として敵地ロシアへ乗り込む、という構図も珍しい。

 まあカタチはどうあれ、個人的な願いとしてはホリフィールドに絶対に勝ってほしい!!
 44歳と言ったら、普通に考えれば身体が動く年齢ではないですけれど(※註:ジョージ・フォアマンの45歳での世界ヘビー級タイトル奪取の例がありますが、しかし、まああれは異例中の異例だからね)……。

 ホリフィールドは、これまでに何度も「もう終わりだ!」と周囲から決めつけられ(僕もそう決めつけたファンの一人)、そして、そのたびに強敵を薙ぎ倒し王座に返り咲いてきた驚くべき実績の持ち主です。

 イブラギモフとの一戦が有利とは思わないし、負けてもいい、と思う。勝てばめっけもの。むしろ、この年齢で世界戦にまでこぎ着けた頑張りにこそ脱帽です!
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# by atom552808-7 | 2007-10-13 23:29  

天狗の鼻がへし折れる――内藤VS亀田次男 (試合予想)

 本日(2007年10月11日)、東京・有明コロシアムにて行われるWBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦。

 チャンピオンの内藤大助(33歳)に、“亀田三兄弟”の次男で同級世界14位の“浪速の弁慶”――亀田大毅(18歳)が挑む一戦とあって、何かと世間の耳目を集めるこのカード。

 僕は(ボクシングファンのほとんどがそうであるように)内藤大助の勝利を予想します。王者の順当なる判定勝ちか、あるいは中盤までのKO(またはTKO)勝ちも充分にあり得ると見る。

 理由は両者のディフェンス能力の違い。格差が大きすぎます。
 大毅の強振パンチ(KO狙い)一辺倒のボクシングが奏功するほど、世界のリングは甘くないでしょう。

 と、同時に、僕個人としては(これも、ほとんどのボクシングファンがそうだと思いますが)一連の“亀田フィーバー”によっていささかバラエティーショー化したボクシングのイメージを、元の純粋な“スポーツ”に引き戻してほしい、という願いもあります。
 だから予想は予想でも、そういう“願望”込みの予想ではありますね。頼むぜ内藤!

 確かに、派手で存在感のあるスター選手がいて、そのおかげで視聴率が取れるというのはスポーツ中継の一つの理想形ではあるかも知れません。

 ただその肝心のスター選手が、いつまでも“実力”の証明を先延ばしにしたまま、キャラクター性にアグラをかいて威張り続ける、という利益構造(?)には納得がいきません。

 プロは何よりも実力と結果が問われる世界ですから、その肝心の“実力”を曖昧にしたまま威張りたい、というのでは、観客からお金を取って運営されるプロスポーツとして成立し得ないからです。

 それに僕個人としては、記者会見など公の場で平然と対戦相手個人のメンツを潰そうとする亀田一家の言動には、社会の常識から見て大いに疑問を感じます。

 ボクシングは喧嘩ではありません。
 試合を盛り上げるためのパフォーマンスとして相手を挑発する、というのは海外の有名選手でもよくやる行為ですが、亀田家のそれは“挑発”の範疇を大きく逸脱していると思います(だって本当にケンカ腰なんだもん。ぶるぶる)。

 こんにちまでファンを充分に納得させられないまま、内容空疎で声ばかりデカい威嚇射撃を続けるしかない亀田一家の単調きわまるパフォーマンス手法には、不愉快さを通り越して哀れみさえ感じてしまう。

 あれが、果たして能ある鷹が取る態度なのかどうか――?
 それを証明する意味でも、今宵の試合は亀田家にとって真価の問われる一戦。

 一応、王者の内藤にもクギを刺しておきますと、ちゃんとやって本当に負けるのならばともかく、ランダエタみたいな変な負け方をしたら承知しないからなっ。
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# by atom552808-7 | 2007-10-11 16:53  

傑物の悲哀 ジェームス・トニー

 WBC世界ヘビー級挑戦者決定戦――。
 サミュエル・ピーター(ナイジェリア/26歳)VSジェームス・トニー(アメリカ/38歳)の第二戦は、3-0の大差判定でピーターが凱歌を揚げました。

 トニーは昨年(2006年)の9月、今回と同じ対戦者ピーターに1-2の僅差判定で惜しくも星を落として以来、二連敗を喫した形です。

 前回(第一戦)の判定が論議を呼ぶような接戦であったことを考えると、今回のピーターの完全勝利は意外ではありましたね。
 チカラ任せの荒削りなスタイルで知られる強打者ピーターが、ミドル級から上がってきた歴戦の技巧派トニーを、よもやKOではなくポイントアウトしようとは……。試合展開の皮肉さに、見ていて呆然となりました。

 これまでは、フック系のパンチをただひたすら強振するだけだったワンパターンなピーターが、出方を変えてボクシングに徹して来たことにはビックリ。そんなに器用なことが出来る選手だとは知りませんでした。

 と、地味ながら何かと見どころの多い再戦ではありました。

 が、終わってみればこの試合、おおよその形勢は第1ラウンドでほとんど決まってしまった観があります。トニーがいきなりいいパンチを貰って、早々にグラついてしまったんですよね。
 そのダメージが尾を引いて、ピーターのヒット重視の軽くて速いパンチをますます避けられなくなるという悪循環の中に、じわじわと取り込まれてしまった。トニーがやりたかったことを、逆にやられてしまった恰好ですね。

「今度ばかりは、希代の業師トニーもKOされてしまうのかも知れない……!」と、最初は寂しい気持ちになりました。

 戦い方(テクニック面)の改善により優位を獲得したピーターですが、それとても当然、トニーとの間に圧倒的な体格差があってのことでしょう。

 元々は70キロそこそこのミドル級の選手だったトニーと、ヘビー級の中でも最初から100キロ超の大男だったピーターとが同じリングの上で張り合おうと言うのですから、土台トニーに分のいい戦いではない。

 しかし、それを承知していてなお、第2ラウンドに訪れた光景には思わず目を疑いましたね。
 ピーターが放った軽めのジャブの三連打――。その最後の一発を避け損ねたトニーが、いきなり大きくひっくり返ってカウントを聞いたのには仰天しました。

 この日が79戦目の試合となるジェームス・トニー、何と約13年ぶりのノックダウン。

「これが体格の違いというものなのか……」と、心配と言うよりは諦め半分、もはや暗然としながら試合を見ていたのですが、それでも時折、目の覚めるようなクリーンヒットで会場を沸かせたりするところなどは、さすがはトニーと言うほかない。

 結果的に判定で敗れはしたものの、浅からぬダメージを引きずりながらも最後の最後まで不敵な構えを崩さなかったジェームス・トニーは、やっぱりカッコよかった。
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# by atom552808-7 | 2007-02-23 09:58  

決断者ホリフィールドの照準

 1990年代――。
 リディック・ボウ、マイク・タイソン、レノックス・ルイスら名だたる強豪を向こうに回し、ヘビー級のトップ戦線を誰よりも勇敢に戦い抜いた世界最強ボクサーの一人、イベンダー・ホリフィールド。あらゆるボクサーの中で、マイク・タイソンと並んで僕が最も好きな選手です。

 現在では44歳になっているそのホリフィールドが、WOWOWで放送中のボクシング番組『WOWOWエキサイトマッチ』に登場したのには驚きました。

 もちろん、ホリフィールドが40歳を過ぎても現役の選手であることは僕も聞き及んでいましたし、今回の対戦者――33歳のフレス・オケンドに3-0の判定勝ちを収めたこともインターネットの情報で事前に知ってはいました(そもそも、これは昨年に行われた試合ですからね)。

 むしろ、その試合を今頃になってテレビで見られる事実に驚いたのでした。正直、凄く嬉しかった。
 と言うのは、この日のとりあえずの目玉カードはあくまで巨漢王者ニコライ・ワルーエフの防衛戦でしたからね。挑戦者がまた強打で鳴らすジャミール・マクラインということもあって、「もしかしたらワルーエフが負けるシーンが見られるかも……」などという強いての期待感にワクワクしながら、いざ番組を見たわけ。

 普段は2試合しか放送しないエキサイトマッチなのに、この日は何と3試合も放送するという。
「フーン、それじゃあワルーエフの試合がすぐ終わっちゃって、時間が余ったから3試合も流すんだね」と僕は即座に思いました(エキサイトマッチのファンなら誰しも考えることです)。

「それで……? ワルーエフ以外には誰が出るの? ホリフィールド? ああ、ホリフィールドね……。ええェ――ッ?!」
 僕はドギモを抜かれ、横たえていた上半身をガバと起こしました。「ホリフィールドッ?!」
 その瞬間、ワルーエフ戦への興味は吹き飛んでいました。

 久々に、テレビ画面越しに目にしたホリフィールド。
「外見的には、10年前からちっとも変わらないなあ」という印象(そもそも20代の頃から老け顔でしたからね)。
 そして肝心の試合内容は、思いのほか動きが良くて二度ビックリ。
 絵に描いたような中堅選手オケンドから、第一ラウンド開始早々に右パンチ一発でダウンを奪ったのには三度ビックリ。そして、放送時間の都合で8ラウンドと9ラウンドが端折られていたのには四度ビックリでしたね(涙)。

 ホリフィールドが初めて世界ヘビー級王座に就いたのは今から17年前の’90年10月。28歳の時でした。その初防衛戦では、当時43歳で老雄と呼ばれたジョージ・フォアマンを判定でどうにか退け、「年寄り相手に判定勝ちとは情けない」と、まだ20代だったホリフィールドに批判が集中したものです(私見になりますが、あれは当時のホリフィールドだったからこそ、あの程度で済んだのだという解釈も成り立つと思いますね)。

 そのホリフィールドが、当時のフォアマンより一つ年上の44歳となった今もなおリングに上がり続けている、というのは実に感慨深いものがあります。光陰矢の如し。
 ただ、ホリフィールドはヘビー級選手としては格別にハードパンチの持ち主というわけではないので、その辺でやはり豪打のフォアマンよりは苦労しているところがあります。再起路線としては、ラリー・ホームズの活躍ぶりに近い。

 しかし現在のヘビー級王者の顔ぶれを見渡す限り、ホリフィールドの付け入る隙が充分あるのもまた事実。ここは一つ対戦相手を慎重に選んで、ぜひともジョージ・フォアマンに次ぐ高齢チャンプ誕生の奇跡を起こして欲しいところです!
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# by atom552808-7 | 2007-01-25 15:48  

亀田-ランダエタ 第2戦

 亀田興毅(協栄)VSファン・ランダエタ(ベネズエラ)因縁の再戦は3-0の判定で亀田に軍配!
 この日(2006年12月20日)の亀田は、従来の打ち合い一辺倒の単調なボクシングから一転、フットワークとジャブで距離を作りながら丁寧にポイントを積み重ね、危なげのない判定勝利を呼び込みました。
 
 ランダエタへの事実上の雪辱を果たした、という点では「おめでとう」と言いたい。
 昨日の亀田のような「勝ちに徹するボクシング」が出来ずに――ノックアウトへの執着を捨てられずに――自滅して消えていく天才肌の選手は少なくないですからね(勝ちに徹することの是非、という問題もありますがそれはまた別の機会に)。

 これは頭の良し悪しの問題というより、頭で分かっていることを試合中に実行に移せるかどうか、そこの違いが大きいのではないかと思います。ランダエタとの再戦でそれが出来たという点において、亀田が一定のポテンシャルを示したことは確かでしょう。

 ただ――。
 ボクシングファンとして不満を言わせてもらえば、そもそも“亀田-ランダエタ”というカードは、実力的には決して世界の頂上決戦というわけではありません。

「このカードの勝者を世界王者と呼べるのか?」という、本来なら4ヵ月前にしていたはずの議論が今ようやく出来る段階になった、というだけの話なのです(前回はそれ以前の議論でしたからね)。
 マスコミ業界諸賢はその事実をゆめゆめ忘れることのなきよう。
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# by atom552808-7 | 2006-12-21 19:54  

亀田よ、モラレスの生きざまに刮目せよ

 先日、テレビ(WOWOW)にて放送されたWBCインターナショナル スーパーフェザー(58.97kg以下)級タイトルマッチ12回戦。
“パックマン”マニー・パッキャオ(フィリピン)VS“恐怖の男”エリック・モラレス(メキシコ)の大一番は、パッキャオの3回TKO勝ちという衝撃的な結末とともに幕を下ろしました。

 両雄は過去に二度戦っており、星は一勝一敗の五分(初戦はモラレスの12回判定勝ち。そして第二戦はパッキャオの10回TKO勝ち)。

 そうした流れを受けての今回の第三戦だったわけですが、ボクシングにおいてこのように再戦、再々戦が実現する時というのは、基本的に「もう一度やってもチケットが売れるであろう」という商業上の意図が働いています。

 つまりは、それだけ多くのお客さんが同じ対戦カードを「もう一度組んでほしい」と思っているわけで、それはなぜかと言えば、お客さんたちの間に大なり小なり「もう一度やれば違った結果が生まれるのではないか?」といった期待や不満があるからに他なりません。

 それにしても本当に驚きました。これほどの黄金カードが、まさかたったの3回(正味540秒以内)で終わってしまうとは。

 実力が接近したライバル対決――それも、今回のような一勝一敗を受けた決着戦がこれほどワンサイドな展開になるケースなど、そうそうお目にかかれるものではありませんからね。
 ましてやエリック・モラレスと言えば、国際的な水準から見てもたった一握りの強豪中の強豪であり、普通に考えればKO負けどころか、そもそも簡単にノックダウンを喫するような選手ではありません。それほどの怪物を向こうに回して、フィリピンのマニー・パッキャオが互角どころか都合三度もの明快なノックダウンを奪っての完勝を収めるなど、フィリピンはおろかアジア圏のボクシング界でも極めて異例の事態。フィリピンのボクシングファンがうらやましい……!

 それはそれとして――。
 やはり本物というのは、決して本物との対決を恐れないものだと思います。
 天才オスカー・デラホーヤが、かつて最強の名をほしいままにしていたバーナード・ホプキンスに挑戦し、ボディーブローただ一撃であっけなく沈んだ時、一体誰がデラホーヤのことを“弱い”と思ったでしょうか。

 もちろん勝った負けたの強さも否定できるものではありませんが、やはり人間の本当の強さとは、自分の現実や限界を見極めようと努力する姿勢や、また、その限界を謙虚に受け入れた瞬間に初めて生まれるものではないでしょうか。
 僕は、亀田興毅という人間一個人を目のカタキにしているわけではありません。ただ、目先の金に群がる周囲のオトナたちの結束力など、いざとなったらタカが知れているよ、とだけはご注進申し上げておきます。
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# by atom552808-7 | 2006-11-23 22:35  

“面白さ”の基準

 映画を途中から見ても面白くないのと同じように、何事にも、そこに至るまでのプロセス(大げさに言えば歴史)を踏まえて初めて生まれてくる面白さがあると思います。そのことを僕に最も分かりやすい形で教えてくれたのは、かの有名なマイク・タイソンのボクシングでした。
 
 今を遡ること16年前(1990年)の2月11日――。
 当時、向かうところ敵なしの状態にあったマイク・タイソンが、東京ドームでの試合で伏兵ジェームス・ダグラスにまさかの10回KO負け(初黒星)を喫して世界中が騒然となりました。それまでただの一度もダウンの経験がなかったばかりか、滅多なことでは相手のパンチを貰うことのなかったタイソンが、よりにもよって実力的には遥かに格下のダグラスにKOで敗れたのです。当時中学校の3年生だった僕にとっても、それは大きなショックでした。
 
 その日のタイソンはコンディション的には最悪で、ダグラスの(相対的に)軽いパンチを初回から10回までの間に、ほとんど無策のまま一方的に浴び続けました。なす術もなく打ちまくられたタイソンは10回、遂に力尽きて背中からゆっくりとキャンバスに崩れ落ち、生涯初となるテンカウントを聴いたのでした(この一戦にはボクシング史上に名高い“ロングカウント事件”の問題もあるのですが、それはまた別の話)。

 ただ当時の僕は、落胆する一方で奇妙な高揚感を覚えてもいました。
 あのダグラスの非力なパンチが、数を積み重ねることでタイソンをKOにまで追い込んだ――! 
 その事実は単純にドラマチックであり、魅力的に映りました。
 タイソンのような一撃必殺の“倒し屋”とはベクトルの全く異なる“強さ”。
 勝負を急がず、少しずつ相手を打ち負かしていくアウト・ボクシングの脅威を、あの試合を通じて個人的に思い知らされた格好です。もしもあの時、ダグラスにKOされたのがタイソンではなく、別の知らない選手であったなら? 当時の僕はその試合を決して“面白い”とは感じなかったでしょう。

 ありがとう、タイソン!
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# by atom552808-7 | 2006-09-14 18:24  

亀田問題 (その2)

 亀田興毅選手のいわゆる“疑惑の勝利”――。
「おかしい!」と首を傾げる多数派に対し、「現行の採点方法では致し方ない面もある」と説明する専門家たち。

 そこへ良識派(?)の著名人が登場し、「亀田個人は悪くない!」式の、誰もがハナから承知しているような言わずもがなの正論や、「多数派の感じ方が正しいとは限らない!」式の壮大な一般論を持ち出してきて、最後は皆で何となく黙り込む――というのが、このたびの論議の現在までの基本パターンだと思います。

 ボクシングの採点方法が、最終的にはジャッジ個人の主観・価値観に委ねられた“曖昧”なものであることは、これまでにもたびたび説明されてはいます。

 ただ問題は、採点方法が“曖昧”であることが、直ちに亀田選手の勝利を証明するわけではない、ということです。本来はそのルールを踏まえた上で、「じゃあ亀田の勝敗を検証しましょう」、とならなければおかしい(WBAではそういう検証が行われるらしいのですが、さて……?)。

 しかし現状、話は採点方法を説明した段階でうやむやになっています。僕はこれがズルいと思う。
 そこには、「一般のファンには“採点方法”の説明を。そして、玄人筋には“ジャッジの価値観”の話をして、両者とも煙に巻いてしまおう」という思惑が透けて見えるからです。

 協栄ジムがズルいのか? ズルくないのか? それは僕には判りません。
 ただ、少なくともこの“採点方法の不透明性”が、ズルい人たちにとって格好の隠れ蓑になり得ることは確かです。
 何もやましいところのない人たちが、これだけの“疑惑”をわざわざ“疑惑”のままで野放しにしておく、などということが果たしてあるでしょうか――?
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# by atom552808-7 | 2006-08-08 12:10